2019年2月15日金曜日

障害馬術の成功の基盤

EY Equestrianオンラインスタディ&コーチング
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障害飛越を目指している方へのメッセージとしての記事をシェアします。
人馬の安全の為、是非ご参考にしてください。

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いまだに障害飛越を、”単に馬を走らせて障害物へ向かって飛越させるだけ” の感覚と知識で行っている人は大勢いるかもしれません。

このやり方では、人馬共に常に”不安”を抱えることになり、自信を持つ事からは程遠いものになるだけではなく、実際に大きな事故、怪我を負う事になってしまいます。


中にはそれでもある程度のレベルまで跳んでくれる馬もいます。
しかし、それだけでは馬術の技術や技量を上げる事に注目する事よりも、そういった馬との巡り会いを求める事に重点が置かれるようになるでしょう。
(誤解のない様に。乗り手に必要なレベルの馬選びは大切です!)

能力のある馬を求める事が誤りであると言っているのではありません。実際に非常に大切な事です。しかし、その事だけに依存する事はそもそもの馬術の概念から少しズレてしまうのではないかという事です。

これまでのコンテンツの中でも散々述べてきたように、ドレッサージの基礎は障害飛越においても重要な基盤となります。
これらの基礎トレーニングの入った馬であれば、より安全に、より高度な障害馬術が可能になるでしょう。何よりも人馬が自信を持つことを可能にします。

では、実際にドレッサージの知識がどの様に障害馬術において活用されるのでしょうか?
ひょっとすると大きな驚きを感じられるかもしれません。
アメリカンスタイルというものが存在する米国での記事を取り上げます。

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1956年のオリンピックまでの期間中、ヨーロッパの馬とライダーは一貫してアメリカ人を凌駕していたと彼の著書 『Frank Chapotでの勝利』でアメリカ史上最も成功したショージャンパーが説明した。
第二次世界大戦後に合衆国に移住した(そして最終的に合衆国馬術チームのためのショージャンプコーチになった)Bertalan deNémethy、元ハンガリー騎兵将校との共同作業を始めたのはそれが初めてでした。

deNémethyがChapotとアメリカのチームに教えたのは何だったのか?

「バートは私に馬場馬術とキャバレッティの運動を紹介し、彼が教えていた馬場馬術のテクニックを通して、私は馬にもっと深く座り、必要なときに後ろから Impulsion 弾性 を生み出すことを学びました」とチャポットは書きました。


Bert deNémethyは、成功したすべての馬術トレーニングの基本的な構成要素は、何世紀にもわたる実証済みの原則に基づいていることを知っていました。ジャンピングでは特に重要です。
これらの原則の多くは、今日私たちが「トレーニングスケール」と呼ぶものに含まれています。

このトレーニングアプローチの起源はHeeresdienstvorschrift H.Dv.に含まれています。 12. 1937年に再び更新され、これはドイツ騎兵隊の訓練マニュアルとして役立ちました。
今日のトレーニングスケール(またはトレーニングピラミッド)の先駆けは、1940年、Mittler und Sohnによる、Siegfried von Haugkの著書、The Training of Rruitsに掲載されています。しかし、「Skala der Ausbildung」という用語が登場したのは1950年代まででした。 現在、トレーニングスケール( "Training Scale"として翻訳された)が使用されるようになりました。

Haugkは、今日使用しているトレーニング目標を定義しました。
・Takt(リズム)
・Losgelassenheit(さまざまな翻訳の結果、弛緩またはしなやかさがもたらされる)
・Anlehnung(コンタクト)
・Schwung(インパルジョン、弾性、衝動)
・Geraderichten(真直度)
・Versammlung(コレクション)

これらの要素の命名や順序に多少の違いがあると主張する人もいます。これは、トレーニングスケールの各要素が他の1つ以上の要素と連携して機能するためです。 1つの要素が単独で使用されることはありません。さらに、ピラミッドまたは「ビルディングブロック」として説明されることがよくありますが、それらは前の要素の完成時にのみ従うことができるステップと見なされるべきではありません。

トレーニングスケールにはいくつかのバリエーションがありますが、米国馬場馬術連盟はそれを次のように要約しています。
・リズム ー エネルギーとテンポ
・弛緩 ー弾力性としなやかさ
・つながり ー扶助の受け入れによるハミの受け入れ
・インパルジョン ー エネルギーと推力の増大
・真直度 ー調整とバランスの向上
・コレクション ーエンゲージメントの向上、フォアハンド(前方)の軽さ、セルフキャリッジ

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障害馬術用の馬の日々のトレーニングにおいて、これらの要素に注目する事が出来るべきです。
個々の馬の状態、バックグランド、年齢、用途などによって、今その馬がどういうトレーニングを必要としているのか?トレーナーは把握した上で、トレーニング方法を決断します。

・リズムは、ジャンピング走行で最も重要で基盤であり、馬が自然に維持できるように。
・しなやかさは、走行中のあらゆる場面で馬体が抵抗なく対応するように。
・つながりは、馬体が常にバラバラではなく一つにまとまり、乗り手のコントロールを可能にし、馬もあらゆる回転やジャンプなどの態勢が常にある事。
・インパルジョンは、ジャンプをより上へ。
・真直性は、馬の体使いをよりバランスの取れたものに。
・コレクションは、馬のセルフキャリッジを可能にし、馬をほぼオートマチックの状態へ。
これらのような事が期待できます。
揃っていれば非常に安定した、乗りやすい馬をリングの中で相棒として頼れるようになります。

これらの要素はその馬がそもそも持っている物、と捉えてしまえばそれまでです。
しかしながら、トレーニングによって確実に改善していけるもの、していくものです。
逆にこの概念無しでは、改善どころか後退、つまり段々とその逆の方向へ馬は進むことになり、時間と共に、レベルダウン、あるいは早い時期にリタイアという結果につながるばかりではなく、あらゆる故障やケガ、健康上の問題に至るまでの可能性が出てきてしまいます。
ジャンピングの分野で不勉強な人は大勢いるようです。
ただ障害を跳びたいという希望は、跳ぶ為の概念を持っていなければ、そのただ跳びたいという希望が最悪の事故、悪夢になりかねません。
レベルの高い人だけが知っていればよい事ではなく、安全の為にもまだレベルの低い人ほど認識している必要があると思います。
ある程度のチャレンジは必要です。ですがそのチャレンジが無茶なものであれば人馬に良い結果はもたらさないでしょう。

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トレーニングスケールに関する解説、また様々な馬場運動の定義、効用、目的などといった解説はそれぞれのコンテンツを上げています。


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指導者、あるいはトレーナーにこれらの理解、経験、知識があってこそ次の世代を育てる
に繋がると思います。

何よりも、安全で、前向きな障害馬術の楽しみ方が可能になることでしょう。

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