2019年1月9日水曜日

オリンピックメダリストからの苦言

こんにちは。

今日はジャンピング、シドニーオリンピックメダリスト、オランダのアルバート・ボーン氏のあるインタビューでの話をシェアしたいと思います。

彼は一流選手であり、優秀なトレーナーとして世界中の人々から尊敬されていますが、少々独特な人柄でもあります。ですので時には周囲から少し距離を置かれてしまうところもあるのですが、一流のホースマンです! 少し完璧主義者で几帳面な事で知られています。
近年、馬術というスポーツは国境を越えて非常に華やかになってきました。非常に良い事ではあるのですが、その反面結果として今ある現状を見た時に彼のいう事はもっともであると言えるでしょう。インタビューの彼の表情から、”怒り”といったものも垣間見ることが出来ます。

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最近は、特に若い女の子のライダー達の精神状態が常に”怒り”に満ちているのをよく目にします。彼らに聞いてみたい。あなた方はジャンピングの競技者でいることが好きですか?あなたのパートナーである馬はあなたの友ですか?と。
若いライダーが勝ち負けにハングリーであることは理解できます。私もかつてそうでした。しかし自分が一体何をしているのか理解せずにすべて馬のせいにしているのを見ると非常に残念であると感じます。

各国のフェデレーション(馬術連盟)は何らかのルールを設定するべきです。
このスポーツはすべてお金次第です。
若い子供たちに競技へ出場させていくにはそれの為の馬を購入したり出場料などがかかってくるわけです。
忘れてはならない事は我々はこのスポーツを楽しむために馬という動物を使っている事です。人々はこのことをすぐに忘れてしまう。

最低限の技術的な原則というものは身につけなければいけません。
右へ左へ馬を回転させたり、速く走ったり減速したり、最低限の事です。
ろくにちゃんとした円運動も出来ないのに、とりあえず障害を飛びたがるのはいけない。
この部分にはルールを定めるべきです。馬術連盟などもこういうルールは儲からないので今まで放任しています。

我々トレーナーの立場の人々も同様です。
我々は顧客をトレーニングすることで食べています。顧客を喜ばす必要があるわけです。
お金を持った顧客はトレーナーに対する尊敬といったものは有りません。彼らが尋ねるのは”何をするべきか?”ではなく”何をしたいか?”をいう訳です。
これは世界中どこでも同じです。ろくに座れていない人が障害を飛びたいといい出すわけです。これらは認められるべき事ではありません。
馬術連盟は規制を設けるべきです。連盟もお金の事しか考えていない!
全てはお金の事であり、皆何が論理的であり、ルールであるかといった事に目を向けなくなっているのです。
ここで犠牲になるのは ”馬” のみ。
気が狂いそうな思いです。

多くの人はちゃんとした学習をしたがりません。早く勝てることにしか興味がないわけです。
ヤングライダー選手権やジュニア選手権などを見れば、親は勝ち負けに熱くなり、子供たちはミスを犯すことが許されません。狂っています。
非常にナンセンスな事です。若いライダーたちは彼らの馬と一緒に少しずつ学習していくのです。
親とトレーナーが子供たちと彼らの馬達に早すぎるパフォーマンスを強要しているわけです。
馬術というスポーツはたとえ乗り手が馬術を全く理解していなくても時にそのクラスに勝ってしまう事が出来るスポーツです。馬が乗り手の強要、酷使を受け入れる限り、全くのアマチュア選手がプロの選手を負かすことが起こりうるのです。馬はこれらの強要を受け入れるべきではないのですが、残念ながら彼らには受け入れることが出来ます。

ポジティブな事はより多くの人々がこのスポーツを楽しみたいと思う様になったことでしょう。しかし、40歳で初めて馬にまたがった人が大金を積んで馬を買い競技会で勝つというのではスポーツとしての意義がどこにあるのでしょうか?
その中で少しでも習いたいと思うのは良い事ですが、本当に、真に学びたがっているのでしょうか? 大半のケースはNOです。
私自身がこのスポーツを楽しんできたものとは全く違ったものになってきてしまっているのです。

世界中どこへでも呼ばれれば私の知識を教えに行きます。馬を救うために!

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こういう事を皆声を上げて言いません。得にならないからです。
”早く勝てるコツ” をお金で買おうとしている顧客が遠ざかってしまいます。

ここでは競技スポーツを焦点に話をしているのですが、単に乗馬を楽しみたいと思っている大勢の人にも程度は違いますが当てはまると思います。

11月末に上げた記事 ”週末だけクラブの馬に乗って上達する方法” のなかで、

”下手くそは馬にとっては罪”

という事を書きました。

馬の上にまたがろうと思った瞬間から我々は動物である馬を使う限り、出来る限りきちっとした学習、訓練をして上達するべきです。

初めて乗って上手く出来ないのは当然です。しかし、何年も乗っているのに上達しない、勉強もしない、努力もしない、では馬に迷惑だという事です。

また、インタビューの中でも言っているように、
本当に、真に学習しようとしていますか?。

よく、 ”コツを教えてください” ”要領は?” といった事は聞きますが、”馬の体の構造は?” などとは聞きません。

コツとか要領は自身の中で感覚的に生み出すものです。人から教わる場合はその人の感覚、ニュアンスによるものです。
もっと普遍的な根本的に学習することが有るのですが、そこは面倒がってやらないのが一般的。

でも、急がば回れ。根幹、真理的な事に目を付けなければ実力に結び付きません。

これがアルバート・ボーンのいう、乗馬、馬術の楽しみ方ではないでしょうか?


EY Equestrianオンラインスタディ&コーチング
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2 件のコメント:

  1. 素晴らしい事です。実現は難しいでしょうが・気持ちは大切ですね!
    シェアさせてください。

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    1. どうぞシェアしてください!

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