2019年1月20日日曜日

乗馬、馬術の基礎

何をするにも ”基礎” というのは大変重要です。

初心者であれ、競技者であれ、トレーナーであれ、必ずどれだけ基礎がしっかりしているかにより全く質が変わってくるでしょう。

では、一体何が ”基礎” なのか?

ジャンピングであれウェスタンであれ、分野が違っても必ず目を向けるのが Classical Dressage 古典的な馬場馬術 と言えます。

実際の例を挙げると、ジャンピングのトップライダー、キアン・オコナー氏 オリンピックメダリストでもある現役のトップ選手ですが、彼は彼の抱える乗り役に定期的にドレッサージの先生からのレッスンを受けさせています。

また、アメリカのジャンピング界の第一人者であるジョージ・モーリス氏もClassical Dressageあるいはトレーニングスケールという事を頻繁に口にします。



馬場馬術は一部の馬場馬術競技を目指す人だけのものではありません。
全ての馬術の基礎です。

しかし、残念な事にここに目を向けようとする人、あるいはその根幹、意義を知ろうとする人が非常に少ないのが現実。馬場馬術競技に実際出場している人でさえ、本質的な理解の乏しい人が多いわけです。


あるドレッサージトレーナーが以下の様に解説しています。

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馬場馬術とは以下の様なものではありません!

1.馬を壊すような訓練
 馬場馬術のトレーニングが適切であれば、馬のバランス、調整、および足の運びが向上します。 歩行は改善するはずです。 馬の駆けやすさが向上するはずです。 馬は誇りを持って仕事に喜びを見いだすべきです。 良い仕事は時間をかけてゆっくりと馬を築き上げるのに対して、悪い仕事は馬を短時間での結果を求め体に負担をかけます。 馬をゆっくり体操させるためには、忍耐力と献身的な努力が必要です。 それがゆっくり、穏やかに、正しく馬を築き上げるのか、それともその代わりに速やかに彼を解体させるのかについては、「迅速な修正」であると約束するもの、あるいは不自然な方法で馬を拘束するものは疑うべきです。 ほとんどの場合、素早いまたは力ずくの方法は緊張、痛み、恐怖、そして時には長期にわたる損傷を引き起こすことになり、馬場馬術にはなりません。

2.繰り返すだけの退屈な仕事
 何度も何度も何度も蹄跡を回ったり、永遠と20m円運動を繰り返すことでその運動の改善を期待しているのなら、それは馬場馬術ではありません。 馬場馬術では、馬の体のさまざまな部分を操作するためのさまざまな方法が用意されているので、すべてのことを理解し始めると、もう「蹄跡を走り回る」だけで満足することはできなくなるはずです。 馬場馬術は、「単に並足、速足、駈足をする」のとは大きく異なります。 若い馬でもあまりまだトレーニングされていない馬でも、馬場馬術の運動バラエティは馬を強化するものであり、馬自身をよりバランスのとれた状態で体を使い、体の両側を均等に発達させることに挑戦します。 あなたのルーティンを「単に歩いたり、走る」から「馬場馬術をする」に変えるためのアイデアが ”乗馬の質” を向上させるでしょう。

3.うまくやるのは簡単 
申し訳ありませんが、馬場馬術をうまくやるのは簡単ではありません。 簡単だと言う人はあなたに何かを売ろうとしている場合が大半でしょう。 ある種の「馬場馬術の動きっぽい事」を表現するのはとても簡単です。よくトレーニングされた馬で生徒に、「馬場馬術の動きっぽい事」を感じさせることは出来ます。 しかしそれは本質的な動きとその意味、扶助の役割などを踏まえた乗馬とは全く違うものです。 プラス面は、馬場馬術は非常に進歩的であり、特に指導の際”トレーニングスケール”などを使うならば、非常に自然に一つの要素は次の要素につながります。 あなたが最初からしっかりとした基礎を築くならば、時間がたつにつれて進歩しないといった事が無くなるでしょう。 あとは時間と労力、努力です。誰でもそうですが、上手くなりたいと思うのは皆同じでしょう。

4.高価な馬を持つお金持ちのためだけのもの
もちろんNOです! 馬場馬術の訓練は、徐々に馬を育成することです。 どんな馬でもです。 実際、馬場馬術は、行動の仕方や行動やトレーニングの問題がある馬にとっては時間と労力の節約の恩恵になり得ます。 それは、優れた乗馬を生み出すための体系的な方法です。 さて、オリンピックの馬場馬術について話しているのなら、多分そうでしょう。 しかし、あらゆる種類の、あらゆる年齢、能力の馬に馬場馬術をする普通の人々がいます。 馬場馬術は、目的に合わせて繁殖した馬のほうが簡単な場合があり、お金がたくさんある場合はほとんど何でも簡単ですが、馬場馬術は裕福な人に限られているわけではありません。 乗るべき馬と学ぶ意欲があるならば、馬場馬術をすることができます。

5.馬場馬術競技に出場したい人々のためだけのもの
馬場馬術競技に出場しないが、馬場馬術を学ぶ非常に多くの人々がいます。しなやかでバランスのとれた、反応の良い、運動用の馬を持つことはどんな分野でも適しているため、ハンター、ジャンパー、イベンティング、ウエスタン、またはトレイルの馬で馬場馬術を訓練する人々がたくさんいます!また、馬場馬術はおそらくそれが自然に進行する方法のためにそれ自身で非常にやりがいがある数少ない分野の1つです。いくつかの分野では、あなたが本当にうまくいったかどうかを知るために競争するために比較対象である競争相手が必要です。例えば、ジャンピングのジャンプオフの様にです。馬場馬術の訓練では、たとえあなたが競っていなくても、最初に新しい動きを可能にし、それらを簡単で楽しいと感じるので、あなたは馬でレベルを上げることを楽しむことができます。あなたの馬は、あなたが可能であるとは思わなかった方法で動くことを申し出るでしょう。そして、あなたはあなたが今まで想像していなかったより調和のとれたシートと洗練された扶助で乗ることを学ぶでしょう。あなたが到達するそれぞれの新しいレベルで、乗馬の喜びはより大きくなります。そして最良の部分は、それはかなり無限大です。学ぶべきこと、試してみるべき新しい演習、そして設定できる新しい目標が常にあります。

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私自身、専門はジャンピングです!

これまでに色んな馬を手掛け、また色んなライダーのトレーニングもしてきました。

上記の様なベースを実際に実戦で大いに生かし、ドレッサージの知識と技術をジャンピングの馬に適用していく意義、必要性といったものを実感してきました。
簡潔に言えば、めちゃくちゃ役に立ちます!
また、馬を健康的に幸せにすることが出来ます!

多くのトレーナーは小手先のテクニックで明日の競技会で好成績を出すことで顧客を満足させる傾向にあるわけですが、長い目で見ればこれは非常に遠回りなだけではなく、馬にダメージを与えてしまうわけです。そういう例も目の当たりにしてきました。

実際このようにダメージを受けた馬を馬場馬術の運動、技術によって復帰させた例もあります。

馬場馬術の習得とは、その動き動きを形にすることが真の目的ではなく、その動きの意義を理解し、馬を改善することにあります。そこを踏まえれば自然と形づけられるはずだという事です。
多くの馬場馬術選手もこの部分の考え方が逆になっているパターンが多いのではないでしょうか? ですのでヨーロッパからの馬の購入時がピークであとは下り坂という結果になってしまいます。

”初心者、あるいは初級者である我々には無縁” と思われがちですが、体がついていかなくても考え方が的を得ていれば次第にその方向へすべて向かうはずです。
実際にEY Equestrianオンラインスタディ&コーチングには初級者の方々も多くご参加されています。時々頂くメッセージは、

「馬に乗る事が以前よりも有意義に、楽しくなりました。」

というものです。

乗馬、馬術の理解が一般にまだ浅い日本において、より多くの人々に本質、本物の乗馬、馬術を知っていただきたいと思います。


多くの枝葉をいくら綺麗に整えても、一本の根幹が腐っていればその木はいずれ枯れてしまいます。
目に見える派手で豪勢な枝葉に心を奪われ、目に見えにくい根を分析しなければ、それはただの”馬術ごっこ”。

このことに気づくのは、早ければ早い方が時間の節約になるだけでなくより多くの馬を幸せにすることに繋がると信じています。



EY Equestrianオンラインスタディ&コーチング
https://erinayamabe.wixsite.com/mysite-1

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